発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200982
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53歳男。左側腹部痛の後に軟便、食欲低下が出現し、検査所見で炎症反応、CEAおよびCA19-9の上昇を、腹部CTで左腎腹側に不均一に造影される径6cmの腫瘍を認めた。消化管内視鏡では胃体上部後壁にIIc病変を、十二指腸下行脚に2型腫瘍を、下行結腸に巨大腫瘍を、S状結腸には径4cmの1型腫瘍を認めた。生検結果と併せて胃癌・十二指腸癌・下行結腸癌・S状結腸癌の同時性重複癌と診断し、胃部分切除、幽門輪温存膵頭十二指腸切除、結腸左半切除、S状結腸部分切除を行った。切除標本所見は下行結腸は105×98mmの中分化型腺癌、S状結腸は29×28mmの高分化型腺癌、胃は12×9mmの中分化型管状腺癌、十二指腸は34×30mmの中分化型腺癌で、病理学的にそれぞれが原発の腫瘍と診断された。術後73日目に退院したが、術後約10ヵ月に血便が出現し、大腸内視鏡で肝彎曲部に1/2周性の2型腫瘍を認めた。結腸切除術を施行し、切除標本所見は50×35mmの高分化型腺癌であった。術後18日目に退院し、2年3ヵ月経過して再発はない。
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