発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316471
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50歳代男性。腹痛、嘔吐を主訴に近医を受診、上部消化管内視鏡にて前庭部から十二指腸球部に及ぶ全周性狭窄を認め、高分化型腺癌と診断され、著者らの施設へ紹介となった。Type 3病変として手術を施行したところ、幽門部を中心に癌腫は十二指腸下行脚まで浸潤し、著明に腫大したNo.6リンパ節は原発巣と一塊となり膵頭部へ浸潤していた。更にNo.8a、No.11pリンパ節は総肝動脈、脾動脈を巻き込み、肝十二指腸間膜にも浸潤、臨床的にP1と判断され根治的切除は不可能であった。以後、S-1+CDDP併用療法を6コース施行し、癌の浸潤の改善を認めてから、7ヵ月後に幽門側胃切除術、D2+12b、12p、13郭清術、Roux-en Y再建術、胆嚢摘出術が施行された。しかし、再建手術後30ヵ月目に膵頭後部リンパ節の再発を認め、強度変調放射線治療と化学療法を施行することでCRが得られたものの、更に7ヵ月後には肝S3に腫瘤影を認めた。そこで、定位放射線治療と化学療法を行い、CRが得られた後、S-1+CDDP併用療法、S-1単剤療法を行った。目下、初診から3年1ヵ月経過現在、患者は無再発生存中である。
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