発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316472
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26歳女性。嘔吐、腹痛を主訴に受診となった。腹部造影CTにて上腸間膜動脈(SMA)症候群と診断され、胃管による減圧による保存的治療で軽快退院した。その後も年2回の頻度で同様の症状が生じ、保存的加療で対処し、生活指導では体重増加を促したが、患者はダイエット志向が強いため、今回、手術加療となった。上部消化管造影では胃から十二指腸下行脚まで拡張し、水平脚への造影剤流出は遅延し、体位変換によりようやく小腸への流出を認めた。腹骨盤造影CTでは胃から十二指腸水平脚にかけて著明な拡張がみられ、十二指腸水平脚は大動脈とSMAに挟まれ狭窄しており、大動脈とSMA間の角度は10°であった。以上、これらの所見を踏まえて、腹腔鏡下胃空腸吻合術(後結腸経路、胃空腸吻合+Braun吻合)を施行した。その結果、手術時間は140分、出血量は32mlで、術翌日からは飲水を開始し、3日目に消化管造影検査で胃の拡張と小腸への造影剤流出が良好であることを確認後、食事を開始した。患者は9日目に退院となったが、目下、術後1年経過で症状は再発なく経過している。
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