発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016119602
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54歳男。徐々に増悪する右側腹部痛が出現し、近医での腹部造影CTで巨大な腹腔内膿瘍形成が疑われ当科紹介となった。骨盤CTでは上行結腸に巨大腫瘤を認め、十二指腸下行脚との境界、小腸や腹壁との境界も不明瞭であった。また、リンパ節腫大も認めた。下部消化管内視鏡検査では回盲弁のやや肛門側から約10cmにわたり易出血性・半周性の腫瘍を認め、生検で高~中分化腺癌を認めた。mFOLFOX6による術前化学療法を開始したところ、4コース終了時点で腫瘍および腫大リンパ節の著明な縮小が得られたため、更に3コース追加した後に手術を行った。手術所見では腫瘍から連続する腹壁膿瘍を認め、一括して切除した。十二指腸下行脚から水平脚への移行部で腸間膜と腫瘍の癒着を認め、楔状に切除した。回腸と膿瘍との癒着も認めたため、部分切除を行った。切除標本では上行結腸に3型病変、en blocに切除した十二指腸および腹壁への穿通を認め、病理組織学的には"大腸癌取扱い規約(第8版)"でpT4b(SI)[duodenum、abdominal wall]、pN0(0/58)、cM0、pStage II、根治度Aであった。なお、薬物治療の効果判定はgrade Iaであった。術後補助化学療法としてmFOLFOX6を再開し、経過観察中である。
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