発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009331709
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60歳男。右下腹部痛を主訴とした。血液検査で炎症反応と腫瘤マーカーCEAおよびCA19-9の高値を認め、CTで盲腸から上行結腸に全周性の壁肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認め、腫瘤の存在が疑われた。さらにその肛門側には結腸と小腸との間に内瘻形成を疑わせる所見を認めた。また、回盲部には膿瘻形成を疑わせる低吸収性病変を認めた。回腸への内瘻形成を伴った上行結腸癌、回盲部周囲膿瘍と診断し、開腹手術を行った。上行結腸に腫瘍を触知し、後腹膜への穿通、膿瘍形成が疑われた。また、腫瘍部近傍の回腸が腫瘍部分の結腸と内瘻を形成していた。後腹膜から可及的に剥離を行い、内瘻部分の小腸も含めて右結腸切除術を施行した。摘出標本で上行結腸に全周性の3型腫瘍を認め、回腸に瘻孔形成していた。病理所見で腫瘍は中分化腺癌で、漿膜浸潤を認め、病期はsi、ly2、v1、n1、Stage IIIaであった。腫瘍は後腹膜へ穿通し膿瘍形成を伴っていた。また、回腸が上行結腸と内瘻形成していたが、腫瘍浸潤はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009