発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246580
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73歳女。下腹部痛、嘔気、食欲不振が出現した。腹部CTで回盲部に不整に造影される壁肥厚像を認め、小腸は拡張し、肝周囲には腹水が存在した。肝内には境界不明瞭な低濃度腫瘤を多数認めた。注腸造影では回盲部にapple core signを認めた。下部消化管内視鏡ではBauhin弁の肛門側寄りに、表面不整・易出血性の結節隆起性病変を認め、生検で高分化型腺癌が検出された。腸閉塞を合併した上行結腸癌と診断し、開腹術を施行した。腫瘍は回腸末端部を巻き込んで一塊となり、手拳大の腫瘤を形成していた。また、回結腸動脈に沿って径1cmの多数のリンパ節腫大を、肝の両葉には多発肝転移を認めた。腫瘍と一塊となった回腸を含め、回盲部切除術を施行した。摘出標本でBauhin弁の直後に4×3cmの3型腫瘍を認め、更に回腸末端部から10cm離れた部分にも腫瘍を認め、両者の間にBauhin弁を含む正常腸管を介して瘻孔が形成されていた。組織学的にはいずれも高分化腺癌であった。術後経過良好で退院となったが、術後11ヵ月目に原病死した。
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