発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009067967
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16歳女性。患者は激しい左側腹部痛の出現で近医を受診、尿路感染症の診断で保存的に軽快したが、今回、下腹部痛に加え嘔気、嘔吐、便秘症状が伴い著者らの施設へ紹介受診となった。X線では二ボー像を伴う小腸ガスが認められ、腫瘍マーカーのCA19-9は高値、更にCTでは全小腸にわたる拡張と横行結腸に壁肥厚がみられた。以上より、本症例はイレウスと診断され、イレウス管の挿入を行なうも腹部症状は軽快せず、入院から4日目には腹部症状の増悪、腹膜刺激症状の出現がみられた。そこで、緊急開腹術を行ったところ、小腸は著明に拡張し、盲腸から上行結腸にかけて漿膜面に亀裂を認め、穿孔寸前であった。更に横行結腸の脾彎曲部と肝彎曲部に硬い腫瘤が認められたため、回盲部から下行結腸にかけて切除を行ない、あわせて回腸-S状結腸の側々吻合が行なわれた。病理所見では脾彎曲部の腫瘤はRM1のmucinous adenocarcinomaで、肝彎曲部の腫瘤は播種巣であった。術後は化学療法が行なわれ、第26病日目に一旦退院となり、現在も短期入院にて継続中である。
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