発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014038109
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71歳男性。2年前に腹部大動脈瘤に対する経後腹膜的人工血管置換術の既往があった。今回、術創部における腹壁瘢痕ヘルニアの増大傾向を認め、著者らの施設へ紹介受診となった。所見では左傍腹直筋切開手術瘢痕に一致して径80×80mmのヘルニア門ほか、左鼠径部に臥位で陥凹する膨隆が認められた。また、腹部造影CTでは左腹直筋の萎縮をはじめ、左下腹部に腹壁瘢痕ヘルニアを、同側に鼠径ヘルニアの合併が認められた。以上より、前回の手術創部を切開後、皮下ならびに菲薄化した筋膜を同定して切離し、腹膜前腔に到達してから、次いでヘルニア門周囲腹膜前腔を全周性に剥離し、一部損傷した部位より示指を挿入してヘルニア嚢を剥離した。そして、デュアルメッシュを腹壁瘢痕ヘルニア部に、Kugel Patchを鼠径部の腹膜前腔に留置して筋膜を縫合閉鎖した。その結果、本症例はヘルニア分類II-1と診断され、術後は第5病日目に退院となった。尚、術後11ヵ月目のCTでは瘢痕ヘルニア手術部位のデュアルメッシュにより腹壁は十分補強され、鼠径ヘルニアも治癒していた。
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