発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167447
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65歳女性。7年前に腹膜透析導入、今回、発熱、腹痛、透析排液の混濁を認め受診となった。腹部単純CTを行なったところ、S状結腸には不整な壁肥厚がみられ、腹膜透析の影響と思われる腹水貯留、free airが認められた。腹膜透析関連腹膜炎と診断され、抗菌薬の投与により透析排液中の白血球は徐々に改善し、透析排液の培養ではEscherichia coli(E. coli)が検出された。一方、下部消化管内視鏡では肛門縁から20cmのS状結腸に亜全周性2型腫瘍が認められたが、狭窄のため内視鏡の口側への挿入は不能であった。生検によりGroup 5、moderately differentiated type(tub2)と判断されたことで、S状結腸癌の診断のもと待機手術方針で一時退院となったが、退院4日後に発熱、腹痛、透析排液混濁を再発し再入院となった。再度、抗菌薬による治療を行なうことで徐々に改善が得られたが、透析排液からは前回同様にE. coliが検出された。以後、大腸癌の手術予定に合わせて血液透析導入の方針となり、術前にシャント造設術を施行した。その結果、患者は手術翌日より2日ごとに血液透析を行い、第8病日からは透析管理のため泌尿器科に転科となり、第15病日に退院となった。尚、大腸癌手術における切除標本の病理組織学的所見はS状結腸に60×40mmの2型腫瘍が確認され、中分化型管状腺癌と診断された。
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