発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167445
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72歳女性。46歳時にCushing症候群で下垂体手術、65歳時に上行大動脈瘤破裂で胸部大動脈置換術の既往があった。また69歳時よりは胆石症や胃潰瘍ほか、高血圧、糖尿病、腹部大動脈瘤に対して内服加療中であった。今回、腹痛で歩行困難となり近医を受診、イレウスの疑いで著者らの施設へ紹介となった。入院時、腹部CTでは上腹部に腹腔内遊離ガスと腹水がみられ、小腸壁は全体的に浮腫状に肥厚していた。更に子宮の腫大と壁肥厚も認められ、壁内には遊離ガス、内部には液体貯留がみられ、その他、壁在血栓を伴った約6cm大の腹部大動脈瘤も確認できた。以上、これらの所見を踏まえ、原因は不明であるが本症例は消化管穿孔による腹膜炎と考え、開腹手術を行なったところ、術中所見では子宮底部に壊死を伴う20mm大の穿孔部位が認められ、子宮穿孔による汎発性腹膜炎と考えられ、穿孔の原因として悪性腫瘍の可能性も疑われた。そこで、婦人科と相談して年齢や全身状態を考慮して子宮全摘術+両側付属器摘出術を施行することとなった。その結果、術後はICU管理のもとmeropenem(1.5g/日)を5日間投与することにより炎症は軽快、術後4日目には食事を開始するまでになった。だが、偽膜性腸炎を併発したためmetronidazoleの投与を行ない、患者は術後12日目に退院となった。目下、2年4ヵ月経過で良好な経過をたどっている。
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