発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014230541
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50歳代女。胆石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。その後、腹壁瘢痕ヘルニアを認め、腹壁瘢痕ヘルニア修復術を行った。経過は良好であったが、腹痛、吐気を自覚し、腹部CTで臍上創のメッシュ感染による腹壁膿瘍と、同部を起点とした腸閉塞を認めた。イレウス管の挿入と保存的治療で、炎症所見は改善、腸閉塞も軽快したが、その後も感染で入退院を繰り返した。腹部造影CT所見では、腹壁瘢痕ヘルニアメッシュの周囲に脂肪組織の混濁があり、炎症を認め、膿瘍形成を疑った。また、同部位を起点とし腸管の拡張像を認め、腸閉塞状態であった。膿瘍、臍を含む皮膚、皮下組織と腹壁膿瘍、感染メッシュ、癒着小腸2ヶ所を一塊として切除し、小腸はそれぞれfunctinal end to end吻合を施行した。欠損腹壁には腹直筋、前・後鞘に減張縫合を加え、単純閉鎖を行った。切除標本では、屈曲したメッシュが小腸内に露出・穿通していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014