発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015084591
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74歳男性。突然の腹部全体の痛みで近医を受診、腹膜炎の診断にて著者らの施設へ救急外来となった。入院時、軽度貧血がみられるも胸部に異常所見はなかった。だが、腹部全体が板状硬で筋性防御および半跳痛が認められた。一方、腹部造影CTでは盲腸に4cm大の造影効果のある腫瘤と虫垂の腫大ほか、右横隔膜下とMorrison窩に少量の液体貯留が認められた。以上より、本症例は盲腸癌および穿孔性虫垂炎による汎発性腹膜炎が疑われ、緊急手術を行なったところ、術中所見では腹腔鏡にて腹腔内全体に膿性腹水がみられ、虫垂穿孔と考え、中下腹部正中切開に移行した。すると虫垂間膜側に穿孔を、また虫垂根部付近に4cm大の腫瘤が触知され、盲腸癌の診断にて右半結腸切除術(D3)が施行された。その結果、摘出標本は70×50mm大の2型腫瘍で、病理診断はC type 2、70×50mm、tub1、pSS、med、INFb、ly1、v1、pN0(0/13)のstage II、Cur Aであった。尚、術後は経過良好で、患者は術後20日目に退院となったが、術後2年2ヵ月経過で多発肺転移ならびに多発肝転移が再発、化学療法で対処するも再発巣は増大、目下は緩和ケア中である。
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