発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013325745
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79歳女。発熱、右下腹部痛を主訴とし、CTで腫大した虫垂と盲腸壁の肥厚を認め、急性虫垂炎による腹腔内膿瘍形成、汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を行った。術中、虫垂根部と盲腸壁が肥厚していたため虫垂断端の埋没が不能であり、虫垂断端を焼灼後に全層縫合して周囲組織で根部を被覆した。盲腸壁の肥厚は高度の炎症による変化と考えられた。病理組織学的検査で虫垂切除断端の粘膜下から漿膜下に腫瘍性の病変があり、中分化腺癌であった。虫垂中央部から先端にかけては中等度の炎症反応があったが、異型度は軽度で、盲腸部からの腫瘍の進展が考えられた。経過良好で一旦退院となったが、盲腸癌の虫垂浸潤または虫垂癌を疑い術後21日に再入院とした。大腸内視鏡検査で盲腸癌の虫垂浸潤の診断が得られ、胸腹部CT所見と併せ、盲腸癌の虫垂浸潤により腹腔内膿瘍合併急性虫垂炎を発症したと判断した。盲腸癌に対する根治手術目的で初回手術後28日に回盲部切除術、D3リンパ節郭清を行い、術後経過は良好で無再発生存中である。
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