発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246583
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85歳男。検診で便潜血陽性を指摘され、精査で盲腸癌と診断し、回盲部切除術、D2郭清を施行した。術後半年の腹部CTで肝S2とS3にそれぞれ1cm、2cmの結節影を認め、大腸癌肝転移と考え肝切除を勧めたが本人が希望せず、再発部位が横隔膜直下であったため、腹腔鏡下に超音波ガイドを用いてラジオ波焼灼術(RFA)を施行した。RFA後4ヵ月に左側腹部の腫瘤を自覚し、腫瘤は3cm大で、前回RFA時のカメラポート挿入部位の皮下に存在した。腫瘤摘出術を行い、病理組織学的診断は転移性腺癌であった。術後CTでは肝S3の腫瘍影増大を認めたが、S2は増大がなく、新たな肝転移巣や腹壁の再発、リンパ節の腫脹、腹水もなかった。肝予備能は十分で、再度患者に手術を勧め同意が得られたため、肝外側区域切除術を施行した。摘出標本の病理組織所見では前回RFA治療部位に一致して腫瘍細胞の遺残を認めた。以後外来で経過観察していたが、徐々に癌性腹膜炎を併発し、切除術後1年で死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009