発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004039749
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88歳男.右下腹部痛を主訴とした.入院時,胸部に異常なく,右下腹部にやや軟な腫瘤を触知し,同部に限局した反跳痛を認めた.腹部CTで回腸末端付近に不整な染まりをする腫瘤影がみられ,また,周囲の広い範囲に脂肪織の濃度上昇がみられた.腹部所見および画像所見より腫瘍形成と判断し抗生物質の点滴を施行したが,発熱とWBC及びCRPの上昇を認め,大腸憩室炎による膿瘍形成をもっとも疑い緊急手術を施行した.切除標本所見では虫垂は全体的に浮腫状であり,虫垂根部に膿瘍腔と交通する孔を認めた.病理組織所見では虫垂根部で粘膜は浮腫状であり,虫垂周囲の獎膜側に腫瘤状膿瘍がみられた.虫垂根部に炎症が強くびらん性粘膜で筋層は消失しており,虫垂憩室による穿孔と診断された.術後経過順調にて退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2003