発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009037035
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著者らが経験した大腸癌卵巣転移10例の臨床学的特徴、予後について検討した。その結果、1)同時性は6例、異時性は4例であった。また、原発巣部位は盲腸、上行結腸など様々で、組織型は中分化型が6例と最も多かった。2)深達度は不明1例を除き、すべてse以深の進行癌であった。3)同時性ではすべて腹膜転移を認めた。卵巣転移時の平均年齢は60.3歳で、閉経前は2例のみであった。4)発見契機では、同時性の場合は4例(66%)に卵巣腫瘍による症状がみられたが、異時性の場合は症状が契機で発見されることが少なく、初回術後平均29.2年で発見された。5)治療は全例に卵巣切除を含む外科治療、抗癌薬治療が行なわれた。卵巣切除は両側が4例、片側が6例であった。6)予後は同時性症例では初回治療開始後のMSTは12.0ヵ月、異時性では初回治療後のMSTは62.4ヵ月、卵巣転移治療後のMSTは31.9ヵ月であった。7)腹膜転移を伴っていてもOCRができた症例ではMSTが31.9ヵ月であり、非治癒切除例のMSTが12ヵ月と比較して良好であった。
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