肝胆膵領域における術前ストラテジー 総論
肝門部胆管癌に対する術前減黄戦略
脊山 泰治
1
,
梅北 信孝
1東京都立墨東病院 肝胆膵外科
キーワード:
黄疸
,
肝切除
,
ステント
,
胆管腫瘍
,
Klatskin腫瘍
,
治療成績
,
経皮経肝胆道ドレナージ
,
内視鏡的胆道ドレナージ
Keyword:
Bile Duct Neoplasms
,
Hepatectomy
,
Jaundice
,
Stents
,
Treatment Outcome
,
Klatskin Tumor
pp.1234-1239
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015042065
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肝門部胆管癌に対する拡大肝切除は根治性が高いが,周術期死亡のリスクがある.術前減黄処置(preoperative biliary drainage:PBD)は術後肝不全を避けるために有用であるが,手技に伴う合併症がある.最近の研究結果を考慮すると,大量肝切除となる拡大右肝切除,左三区域切除を予定する場合は,残存予定肝のPBDが必須である.術前減黄処置の優先順位は,(1)endoscopic nasal biliary drainage(ENBD)[+外瘻胆汁内服],(2)endoscopic biliary stenting(EBS),(3)percutaneous transhepatic biliary drainage(PTBD)であり,血清ビリルビン値が3.0mg/dl以下となるのをまって拡大肝切除を施行する.残存予定肝のENBDが基本となる.EBSは胆管炎が高頻度であり,PTBDは播種性再発が予後不良因子となるため第一選択とはならない.減黄期間の延長は予後因子とならないため許容される.拡大左肝切除を予定する場合は,肝不全より胆管炎のほうが短期成績に寄与する可能性が高いため,胆道ドレナージを省略もしくは短期間で手術可能である.
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