肝門部胆管癌の治療戦略2013
肝門部胆管癌の術前準備と周術期管理
脊山 泰治
1
,
梅北 信孝
1東京都立墨東病院 外科
キーワード:
黄疸
,
肝切除
,
塞栓術
,
胆管腫瘍
,
Klatskin腫瘍
,
アルゴリズム
,
治療成績
,
周術期管理
,
胆道ドレナージ
Keyword:
Algorithms
,
Bile Duct Neoplasms
,
Embolization, Therapeutic
,
Hepatectomy
,
Jaundice
,
Treatment Outcome
,
Klatskin Tumor
,
Perioperative Care
pp.468-474
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013255220
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肝門部胆管癌に対する根治術として,拡大肝切除が標準となり長期生存成績も向上してきた.しかし,7割を占める閉塞性黄疸例に安全に拡大肝切除を施行するためには,治療初期から安全性を考慮した治療戦略が必要である.黄疸例では減黄処置を先行する.切除術式を想定し,肝管の左右交通性が失われている症例では残存予定肝の胆道ドレナージを基本とする.経皮経肝胆道ドレナージは腫瘍播種のリスクが明らかになっており,内視鏡的アプローチ,経鼻胆道ドレナージが推奨されている.胆道ステントは閉塞による胆管炎のリスクがある.肝容量評価により,必要時は減黄処置後に門脈枝塞栓術を施行する.症例により経皮経肝同側アプローチ(percutaneous transhepatic portal venous embolization ipsilateral approach),経回結腸静脈アプローチ(TIPE)を選択する.黄疸例でも,胆道ドレナージ,門脈枝塞栓術を術前に施行することで,拡大肝切除後の周術期死亡率は0~5%と改善している.拡大肝切除率の上昇に伴い,5年生存率も30~40%という報告が多くなった.さらなる長期成績向上のために,今後は周術期管理として術前,術後化学療法を含めた治療戦略の確立が望まれる.
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