発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006203164
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70歳女.6年半前,臍ヘルニアに対して腹直筋前鞘にポリプロピレンメッシュを縫着する手術を受けていた.このたび,腹部膨満を自覚した.腹部CTで,腹壁ヘルニアによる小腸ループの腹部皮下脂肪層への逸脱を認めた.腹壁瘢痕ヘルニアの診断で手術を行った.筋膜は瘢痕化したメッシュと共に断裂し,メッシュに相当する部位は瘢痕線維化が著明であった.又,同部位の癒着は強固で,剥離困難であった.ヘルニア内容は塊状になった小腸であった.小腸を切除し,functional end to end anastomosisで再建した.小腸と腹膜の間には大網を介在させ,腹膜を縫合閉鎖した後,腹膜と腹直筋前鞘・後鞘にポリプロピレンメッシュのtension free two-layer repairを行った.摘出した小腸は塊状に癒着し,粘膜面では肉芽状隆起の近傍にメッシュが粘膜面より突出していた.術後感染がみられたが保存的治療で治癒し,再発の徴候はない.腹壁瘢痕ヘルニア修復の際には,メッシュが直接臓器に触れないようにすることが重要であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2006