発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012220175
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75歳男。大腸がん検診で便潜血陽性を指摘され、注腸検査にて腸閉塞症状が出現したため紹介受診となった。腹部CTでは、下行結腸からS状結腸にかけて著明な壁肥厚・狭窄を認め、腸閉塞状態であった。下部消化管内視鏡では、S状結腸に多発ポリープを認め、肛門縁より20cm部位から壁硬化を認めた。ファイバー挿入は困難で、狭窄部の観察や生検は不可能であった。注腸透視では、下行結腸からS状結腸にかけ約8cmの全周性狭窄を認め、臨床的にS状結腸癌が疑われ手術を施行した。両下腿切断術の既往および認知症、脳梗塞後遺症によるPS低下のためHartmann手術方針とし、回腸合併切除、膀胱部分切除の上Hartmann手術、リンパ節D2廓清を施行した。S状結腸粘膜面に憩室が多発し、病理組織学的に憩室周囲に強い炎症細胞浸潤を認め、S状結腸に伴う炎症性腫瘤と診断された。術後臀部に感染性褥瘡が発生し、処置とリハビリのため長期入院を要し、術後66日に療養型病棟へ転院した。
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