発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014122293
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80歳代男。78歳時に胃癌で幽門側胃切除術の既往があった。今回、混濁尿と下腹部痛が出現し、画像検査でS状結腸膀胱瘻が疑われ、著者らの施設へ紹介となった。受診時、下腹部正中に腫瘤様病変が触知されたが圧痛や反跳痛はなかった。また炎症反応、Alb低下、膀胱炎所見ほか、腹部・骨盤CTではS状結腸に多発性憩室と結腸壁の肥厚がみられ、更に膀胱、S状結腸間に周囲が造影される腸管外と膀胱内にガス像が認められた。一方、注腸像ではS状結腸に多発性憩室と同部に腸管の狭小化が認められ、あわせて肛門側結腸から膀胱への造影剤流出と、DIP像で尿路系に流れた造影剤の腸管への流出が認められた。以上より、本症例はS状結腸憩室炎に起因したS状結腸膀胱瘻と診断され、手術が行われた。その結果、S状結腸には多発性憩室が認められ、その肛門側のS状結腸と膀胱は癒着が強固で瘻孔の切除は不能と判断した。そこで、瘻孔およびS状結腸憩室部より口側のS状結腸を60mm離断し、単孔式結腸人工肛門を造設した。以後、患者は術後約2年4ヵ月で炎症の再燃なく、経過観察中である。
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