発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014038108
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38歳女性。既往として10年前に左卵巣チョコレート嚢胞核出術、5年前に子宮卵管造影後骨盤腹膜炎に対し右附属器摘出術が施行された。今回、月経に伴う腹痛・腹満の反復を主訴に前医を受診、4ヵ月前からノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合製剤を処方され経過観察されていたが、3ヵ月内服後、月経発来時に腹部膨満が増強したため著者らの施設へ紹介となった。所見では腹部CTで小腸から大腸の腸管拡張が認められたほか、S状結腸壁の著明な肥厚がみられ、注腸造影X線像ではS状結腸に全周性の鋸歯状変化を伴う陰影欠損が認められた。また、腹部MRIではS状結腸にT2強彫像で高信号を示す壁肥厚所見がみられ、癒着のような蛇行、牽引様所見が認められた。以上より、本症例は腸管子宮内膜炎と考え、開腹でのS状結腸部分切除術が施行された。その結果、切除標本の病理組織学的所見からS状結腸子宮内膜症と診断された。尚、術後は経過良好で第8病日目に退院となったが、患者は挙児希望であり、内服加療はせず、目下は近医にて経過観察中である。
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