発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200981
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34歳男。血便、下痢が持続し、潰瘍性大腸炎(UC)疑いで当科入院となった。消化管内視鏡で左側大腸は全体に浮腫状、易出血性で潰瘍を認め、胃前庭部には多発性びらんが、十二指腸球部には粘膜欠損と多発潰瘍が存在していた。病理所見と併せて活動期UCと診断し、絶食・中心静脈管理、prednisolone投与に加えステロイド動注療法、白血球除去療法を行った。手術を考慮していたが、入院16日目に貧血を来たし、内視鏡検査で脾彎曲付近の潰瘍の深さが増している所見を認め、症状の悪化および検査所見より劇症型USと考えた。大腸全摘術、回腸瘻造設術を行ったが、術後12日に吐血を来たし、内視鏡で上十二指腸角近傍からの出血を認めたためクリッピング術を行った。しかし、再度出血を来たし、血管造影で前膵十二指腸動脈分岐の炎症性動脈瘤からの血管外漏出を認め、コイリングを行い止血した。以後出血はなく、胃・十二指腸の潰瘍は軽快して術後56日目に退院した。術後13ヵ月に回腸肛門管吻合術を行い、現在も治療継続中である。
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