発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003256673
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47歳女.1年前に右卵巣嚢胞を指摘され,嘔吐,食欲不振の後に大量下血,意識障害をきたした.消化管出血によるショック及び肝性脳症と診断し,出血部位の検索を行った.内腸骨動脈造影で卵巣嚢胞周囲の血管の増生を顕著に認めたが,造影剤の漏出はなかった.小腸造影では小腸より卵巣嚢胞内への流入が認められた.小腸造影前のCTでは7×7cmの卵巣嚢胞を,内部にair-fluid levelを認め,造影後には造影剤の貯留が認められた.卵巣嚢胞小腸瘻からの出血を疑い,手術を施行した.右卵巣嚢胞周囲を空腸が取り囲み,強固に癒着しており,一塊に切除した.強固に癒着した部位に卵巣嚢胞空腸瘻を,別の部位に空腸空腸瘻が認められた.病理組織所見で,卵巣空腸瘻の空腸側では明らかに筋層の断裂した憩室が認められた.空腸と嚢胞壁との間には厚い炎症性肉芽組織があり,その中に憩室の一部と思われる小腸粘膜上皮を入れる裂隙が確認された.嚢胞内腔は膿瘍化していた.術後経過良好で,27日目に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2003