発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167767
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73歳男。頬粘膜癌手術前の全身精査で胃癌を指摘され、術後に当科紹介となった。内視鏡で胃体中部小彎にType 0-IIc病変を認め、幽門側胃切除、胆嚢摘出、結腸後Rouxen-Y再建、D1+β郭清術を施行した。術後4日目(4POD)より経口摂取を開始したが、8PODより通過障害が出現し、経鼻胃管で減圧し、絶飲食で経過観察を行った。しかし、症状は改善せず、16PODより中心静脈栄養を開始した。22PODの透視検査で残胃空腸吻合部のすぐ肛門側の挙上空腸に著明な逆蠕動波を認め、Roux stasis症候群と診断した。同日に内瘻化した経鼻胃二重管を留置し、残胃内の減圧および吻合部肛門側からの経腸栄養(EN)を開始した。残胃ドレナージ量は徐々に減少し、48PODよりドレナージルートをロックし、更にENを経口内服に変更することで患者QOLの向上を図った。63PODの造影検査で通過状態の改善を認め、食事摂取を再開して76PODに退院した。術後3年経過の現在、再発はなく術前と同様の食事摂取ができている。
©Nankodo Co., Ltd., 2011