発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010242782
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76歳男。患者は42歳時に十二指腸潰瘍で胃亜全摘術を受けた既往があった。今回、上腹部痛および吐血を主訴に著者らの施設を受診、上部消化管内視鏡では残胃内に暗赤色の液体貯留があり、蛇腹様の腫瘤が認められた。また、腹部超音波では高エコー層を低エコー層が輪状に取り囲むtarget signがみられ、CTでは拡張した腸管とともに同心円状の腫瘤陰影が認められた。以上より、本症例は胃切除後腸重積症と診断され、開腹手が施行、前回、Braun II法で再建されていたBraun吻合部は著明に拡大しており、更にBraun吻合部から約20cmの輸出脚空腸も逆行性に重積していた。そこで、重積空腸に対し用手的整復および部分切除を行い、第8病日目に患者は退院となったものの、退院から約1週間で嘔吐が生じた。そのため内視鏡検査等を行ったところ、未だ過大なBraun吻合部が嚢状のままで残っており、これが蠕動異常を起こしているのが判明した。以後、Braun吻合部を含めて腸管を切除し、あわせてRoux-Y再建が行われた結果、経過は良好となった。
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