発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004275103
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
73歳男.約3ヵ月前頃より周期性噴水様嘔吐が出現した.既往として,11年前の胃癌切除術(Billroth I法)と,2年前の腸閉塞手術があった.腹部超音波ではmultiple centric ring signを認めた.CTでは,内部に低吸収域と高吸収域が混在する層状構造をもつ腫瘤陰影を認めた.イレウス管造影検査では,長いカニの爪様の陰影欠損像と僅かに流れる内腔像とを認めた.術前検査では明らかな器質性病変は指摘されず,腸重積症の診断で手術を行った.潰瘍性病変のみがみられたTreitz靱帯より約50cm部の重積部をHutchinson手技で整復し,腸切徐術は施行しなかった.腸閉塞による再手術の既往,腸管の弛緩性変化,腸間膜の癒着・短縮などを術中所見より認めたことから,なんらかの癒着・蠕動障害が腸重積症の誘因になったと考えられた.成人腸重積症の治療には,胃切除後腸重積症を念頭に,CTや超音波検査などにより早期に診断することが重要であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2004