発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015122706
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82歳男性(認知症)。腹部膨満食欲低下を主訴に受診、イレウスの診断で入院となった。腹部単純X線を行なったところ上腹部にニボーが認められ、また腹部CTでは胃から回腸までの拡張ほか、大腸の虚脱が認められた。腸閉塞と診断後、腸閉塞に対し経鼻胃管で胃内容の減圧を行ない、翌日イレウス管を内視鏡下に挿入し、先端を回腸に留置した。その結果、第3病日目にはイレウス管からの造影で造影剤は大腸まで流れ、排便も認められた。だが、第5病日目の朝、患者がイレウス管を75cm引き抜き、同日夜に腹痛や嘔吐が出現した。腹部CTではTreitz靱帯近くの空腸に腸重積を示すtarget signが認められ、加えてイレウス管よりの造影で腸重積による空腸閉塞が確認された。以後、緊急手術を行なったところ、術中所見では回腸と腹壁に軽度の癒着が認められ、これが腸閉塞の原因と考えられた。そこで、癒着を剥離して小腸を検索するとTreitz靱帯から5~20cmまで空腸が重積しており、重積空腸を切除し端々吻合、腸管は口側から肛門側へ順行性に重積しており、イレウス管の先端は吻合部より肛門側の空腸に留置した。尚、術後、創感染を合併したが治癒し、患者は術後40日に退院となった。
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