発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009331708
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症例1:58歳男。慢性糸球体腎炎による慢性腎不全で血液透析中であった。今回、右下腹部痛が出現し、反跳痛、筋性防御があり、血液検査では炎症所見を認めた。急性虫垂炎の診断で開腹したところ、限局性に盲腸壊死を認め、回盲部切除を行った。病理組織所見で全層にわたる炎症細胞浸潤を認め、粘膜は脱落し壊死性変化をきたしていた。支配血管に明らかな血栓形成はなく、非閉塞性腸管虚血と診断した。術後1日より血液透析を開始し、透析中に異常はなく、術後8日に軽快退院となった。症例2:62歳男。糖尿病性腎症による慢性腎不全で透析施行中であった。今回、右下腹部痛が出現し、反跳痛、筋性防御があり、血液検査では炎症所見を認めた。CTで右側結腸内に石灰化を認め、急性虫垂炎の診断で開腹したところ、腸石の圧迫による限局性壊死を認め、回盲部切除を行った。病理組織所見でGhost like appearanceを認め、虚血性変化をきたしていた。血管の閉塞は認めなかったが、全層にわたる出血性の壊死を認めた。腸石は形状から真性腸石と考えられた。術後直ぐに血液透析を開始し、透析中に異常はなく、術後13日に軽快退院となった。
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