発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009290341
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64歳女性。患者は肺癌検診でS2に異常陰影を指摘され、はじめ呼吸器科を受診し、CTで右S2にmucoid impactionの所見、胃角後壁付近に3cm大の粘膜下腫瘍を疑う所見が認められ、消化器外科へ受診となった。上部消化管内視鏡では胃体中部大彎後壁にbridging foldと頂部に中央陥凹を伴った可動性の乏しい3cm大の粘膜下腫瘍が確認され、超音波内視鏡ではsmooth contourを示す低エコー腫瘤で、第4層に連続し内部不均一で一部cystic portionが認められた。また、上部消化管造影では胃体下部後壁に頂部に陥凹を伴う粘膜下腫瘍がみられた。以上より、患者は治療として腹腔鏡下胃部分切除術、リンパ節郭清を受けた結果、病理所見では腫瘍は粘膜下から固有筋層に存在する境界明瞭な類円形腫瘤で、辺縁にlymphoid cuffを伴うリンパ球の集簇が認められた。更に強拡大では異型に乏しい紡錘型細胞が束状、棚状配列を示して増生しており、総じて本症例は神経鞘腫と診断された。尚、術後は経過良好で、目下も無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009