発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009290342
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60歳男性。患者は他院で胃潰瘍穿孔に対し大網充填術を受けたが、術後2日目に肺塞栓症を併発し、保存的治療で軽快したものの、その後、胃内視鏡で胃体中部前壁の3型胃癌(低分化型腺癌)と診断され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、上部消化管造影では胃体中部前壁に陥凹を示すバリウムの貯留とその周囲に周堤を示す隆起、同部に向かうfoldの集中が認められた。そこで、まず肺梗塞予防に腎静脈レベルで下大静脈(IVC)フィルターの挿入とheparin静注を行い、弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法下に胃全摘脾合併切除術が行われた。しかし、術後2日目に乏尿がみられ、補液を行うも改善せず、更に下腿浮腫も出現したことから急性腎不全と診断された。血液透析は血栓により大腿静脈へカテーテル挿入ができず、超音波で検査したところ深部静脈血栓症であった。対処としてheparinの増量とurokinaseによる治療を行った結果、浮腫は徐々に改善し、尿量の増加も確認された。以後、、造影CTでフィルターから膝窩までの血栓閉塞が認められたが、これはフィルター交換で症状は軽快し、患者は術後64日目に退院となった。
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