発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009138553
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80歳女。腹痛を主訴とした。腹部造影CTで右下腹部に腸管の壁肥厚と層状構造を認め、上行結腸腫瘍による腸重積、腸閉塞と診断し、緊急手術を施行した。開腹すると、淡血性の腹水を少量認め、盲腸は高度に拡張し色調不良であった。上行結腸が横行結腸に重積していたため、Hutchinson手技で整復した。また、先端部の上行結腸に固い腫瘤を触知し、癌の可能性を考慮して結腸右半切除術を施行した。病理組織学的所見は、腫瘍は固有筋層から発生して、連続的に粘膜下層および漿膜下層に進展しており、限局性、充実性であった。腫瘍内部は紡錘形細胞の増殖が主体であり、核分裂像、壊死像、リンパ節転移は認めなかった。免疫染色ではc-kit、ビメンチン、NSE、S-100、α-SMAが陽性で、CD34が陰性であった。以上より、腸重積にて発生した低悪性度の上行結腸gastrointestinal stromal tumorと診断した。術後経過は良好で、術後20日に退院となった。術後11ヵ月の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009