発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200984
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50歳女。腹痛が出現し、腹部超音波の横断像でtarget signを、縦断像でhay-fork signを認めた。腹部造影CTでは上行結腸が同心円状の層構造を示し、内腔に2cm大の濃染する腫瘤を認めた。注腸造影では結腸肝彎曲部にカニの爪様所見を認め、下部消化管内視鏡では不整形の腫瘤性病変を先進部として小腸が上行結腸に内翻しており、生検で腫瘍細胞は認めなかった。小腸粘膜下腫瘍を先進部とする腸重積症と診断し、開腹術を施行した。回腸は上行結腸に順行性に重積しており、Hutchinson手技で容易に整復された。Bauhin弁より15cmの回腸に、漿膜より突出し腸管内に連続する2cm大の腫瘤を触知し、肝・リンパ節転移、腹膜播種は認めず、回腸部分切除術を施行した。病理組織所見で腫瘍は回腸粘膜側から漿膜側へダンベル形に発育し、粘膜面にはびらんがみられた。腫瘍は異型のある紡錘型細胞の索状配列で形成されており、免疫染色結果と併せて回腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した。術後14日目に退院し、3年経過してGIST再発はない。
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