発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009067959
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55歳女性。患者は45歳時に乳癌で左乳房切除、51歳より骨転移で加療中であった。今回、再発乳癌に対するPET/CTで直腸に取り込みが認められ、内科へ入院となり、大腸内視鏡でRs-aに2型腫瘍を認め、生検でgroup 5と診断された。腹腔鏡下において直腸低位前方切除術+D3を行ない、その切除標本では直腸前壁にほぼ全周性の30×30mm大の2型腫瘍があり、病理所見では直腸癌は高分化型腺癌であった。一方、術後ドレーン排液が緑色調となり、腸管損傷が疑われ、恥骨上の小切開創から開腹したところ、回盲部より口側80cmの小腸にピンホール大の穿孔がみられ、全層一層縫合でこれを修復した。しかし、発熱の持続と炎症反応高値から腹腔内遺残膿瘍を考え、正中切開を行ない、左側結腸外側からダグラス窩にかけて膿瘍が確認された。膿瘍を開放洗浄しデュープルドレーンを留置し、以後、直腸吻合部の縫合不全のため横行結腸より人工肛門を造設し、エンドトキシン吸着療法などの集中治療が行なわれた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008