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腹腔鏡下大腸切除術におけるドレーン留置の必要性を明らかにする目的で、1999年1月~2007年4月の腹腔鏡下大腸切除術完遂362例(男193例、女169例、年齢33~97歳)を対象に検討した。ドレーンの留置方法、種類により2群(A、B群)に分類し、ドレーンに起因した合併症(ヘルニアと逆行性感染)、並びにドレーンが有効に働くことが期待される合併症(乳び瘻、縫合不全、術後出血)の発生率を検討した。A群は2005年7月までの241例で10mmポート部から留置し、B群は以降121例で5mmポート部から留置した。またA群の結腸例では10mm閉鎖式チューブドレーンを切除部に留置し、直腸例では開放式の10mmPenrose型ドレーンを吻合部後尾側に留置した。B群では結腸、直腸例とも10mmのPenrose様体内部が体外移行部で5mm閉鎖式チューブに連結するドレーンに統一しA群と同様の部位に留置した。ドレーンに起因した合併症の発生はA群5例(結腸例でドレーン抜去部ヘルニア2例、直腸例で逆行性感染3例)(2.1%)、B群0例であった。ドレーンが有効に働くことが期待される合併症の発生は全体で26例(7.2%)(A群10例(4.1%)、B群16例(13.2%))で、乳び瘻19例(5.2%)(A群5例(2.1%)、B群14例(11.6%))、縫合不全6例(A群4例、B群2例)、術後出血はA群1例のみであった。以上のことから、術後ドレーンは主に乳び瘻から発生しうるSurgical Site Infection予防に効果があり、5mmポート部からの閉鎖式ドレーン留置がヘルニアと逆行性感染予防に有用であると考えられた。また、縫合不全に対する治療効果は、ドレーン単独では期待しないほうが安全と思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008