発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013373074
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70歳代男性。Ra直腸癌に対して腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行後、fStage IIIAよりcapecitabine内服による術後補助化学療法を行っていたが、CA19-9の上昇が認められ、全身精査を行ったところ、局所再発を疑う所見はなく、厳重に経過観察を行っていた。しかし、その後もCA19-9の上昇と腫瘤の増大が認められたため、再度、全身精査を行った。直腸診所見では肛門縁から5cmの吻合部近傍に2cm大の弾性軟の腫瘤が触知された。また、腹部CT所見では術後4ヵ月で吻合部の右側と背側に嚢胞状の腫瘤がみられ、6ヵ月目にはいずれの病変も増大傾向が認められた。一方、EUS-FNA(超音波内視鏡下針生検)ではゼリー状の内溶液が吸引採取され、細胞診では強い変性を受けた上皮様細胞を小集塊として認められた。だが、異型は認めず、class IIIであった。以上、これらのことから本症例は吻合部近傍に発生したimplantation cystと診断され、診断から1年経過で病変の増大はなく、CA19-9も正常値である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013