発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009037034
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1998年4月~2007年3月までに著者らが経験した腹膜炎手術90例を80歳以上の高齢者群39例、60~79歳の対照群51例に分け、臨床的特徴とPOSSUMスコアを用いた予後予測について比較検討した。その結果、術前合併疾患は高齢者群で多く、特に肝腎機能障害と循環器疾患が多い傾向にあった。術前血液検査では高齢者群はWBCが4000/μl以下の減少例が有意に多く、CRPが有意に高く、PLTが有意に低かった。術式、手術時間、出血量については両群間で有意差はみられなかった。術後管理において人工呼吸管理、エンドトキシン吸着療法はともに高齢者群で多く施行されていた。術後合併症、在院死亡は高齢者群で有意に多く、術後在院日数は高齢者群で有意に長かった。POSSUMスコアによる予後予測では、predicted mortality rateと実際の死亡率は高齢者群でほぼ一致しており、更に対照群を含めても全体的に相関する傾向にあり、POSSUMスコアは腹膜手術の予後予測指標として有用と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008