発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008167417
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74歳女。高血圧で近医通院中に左側腹部に腫瘤を触知し、精査加療目的で紹介受診した。右側腹部に可動性良好で表面平滑な腫瘤を触知した。腹部超音波検査、腹部造影CT、腹部MRIにより小腸間膜由来の長径約8cmの辺縁明瞭な多房性嚢胞性腫瘤を認めた。これらの所見から、多房性腸間膜嚢胞と判断し、診断と加療目的で手術を施行した。開腹すると腫瘤は左上腹部にあり、Treitz靱帯から肛門側60cmの空腸間膜から発生する軟らかい乳白色の腫瘤であった。周囲との癒着はなかったが、空腸に接していたため腫瘤の核出は困難で、小腸の部分切除により摘出した。乳白色、表面平滑な腫瘤で、内容物は膿汁もしくは乳び由来と考えられた。壁の内腔は平滑で小腸内腔に異常は認めなかった。病理組織所見にて嚢胞壁に上皮細胞は認めず、その外側に線維性結合織による皮膜形成を認めた。内容が乳びである腸間膜仮性嚢胞と診断し、細胞診の内容物はマクロファージのみであった。術後経過良好で現在経過観察中である。
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