発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003207578
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66歳男性.乗用車運転中,衝突事故にて受傷し,救急搬送された.初診時,腹痛を強く訴え,腹部は膨隆緊満し,ショック状態を呈した.血液生化学検査では軽度貧血,WBC,GOT,GPT,CRPの上昇を認めた.腹部造影CT所見では,脾外側縁と肝外側縁に沿い腹腔内出血を,腸管膜にはアメーバ状に広がる血腫と造影剤漏出を認めた.以上より,腸間膜損傷による腹腔内出血を疑い,緊急開腹術を施行した.手術所見では,Treitz靱帯の肛門側3cmの部位から約1cmにわたり回腸腸間膜が継続的に断裂し,S状結腸間膜にも損傷がみられ,小腸切除術・S状結腸間膜の縫合閉鎖術を行った.出血量2700g,輸血量は600mlであった.切除標本にて腸間膜損傷部の小腸粘膜は黒色調で,腸管の損傷はみられず,小腸腸間膜の単独損傷であった.術後,肝機能障害を認めたが順調に回復し,第25病日に退院となった.術後4ヵ月経過した現在,遅発性の腸管狭窄,腸管虚血はみられない
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