発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008167416
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83歳女。増強する腹痛と嘔吐を主訴に救急外来受診し入院となった。腹痛を訴えるが腹膜刺激症状はなく、血液検査ではWBCが高値であった。腹部X線所見にて腸管内ガスによる小腸と大腸の著明な拡張と肝内に樹枝状のガス像を認め、腹部CTにて肝左葉を中心に門脈ガス像と盲腸背側に造影効果良好な小構造を認めた。以上の所見から、門脈ガス血症を伴った急性虫垂炎と診断し、緊急手術で開腹したが、炎症所見を認めず虫垂切除のみ施行した。術後、biapenem(BIPM)投与で門脈ガスは消失し、levofloxacin(LVFX)に変更したところ下痢が頻回し、flomoxef(FMOX)に薬剤を変更すると症状は改善し退院した。便培養検査で病原性大腸菌O-25を検出し、minimum inhibitory concentration値はFMOXとIPMは感受性であったが、LVFXは抵抗性であった。退院後34日目に上腹部痛が出現、Panipenem(PAPM)投与で改善したが軽度の腹痛を繰り返した。上部消化管内視鏡検査で上十二指腸角の膵臓側に活動期(A2)潰瘍を認め、プロトンポンプ阻害薬投与で腹痛は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008