発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012270914
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症例は70歳代男性で、腹痛、腹部膨満で受診した。腹部は全体的に緊満していたが、腹膜刺激症状はなかった。X線で小腸ガスとニボーを認め、CTで小腸の著明な拡張、回腸の狭窄が認められた。腸閉塞の診断で入院の上絶飲食とし、イレウス管挿入で3週間経過するも排ガスは認めず、X線上ニボーの消失もなく手術適応とした。左下腹部の腹腔鏡下観察でS状結腸の腹膜垂が小腸間膜に癒着してループを形成し、ループ内に回腸の陥入を認め、超音波凝固切開装置で腹膜垂を切離して閉塞を解除し、腸管の血行障害はなく手術を終了したが、排ガス、排便は認めず、X線上のニボーも消失しなかった。術後13日にmeglumine sodium amidotrizoateを用いたイレウス管造影を行い、腸閉塞を解除した部位の回腸に完全閉塞を認め、術後15日に再手術を行い、狭窄部位の小腸を切除した。術後経過は順調で再手術後22日に退院した。15ヵ月経過で腸閉塞の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012