発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008117115
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症例は44歳男性で、6年前、空腸の消化管間質性腫瘍(GIST)の診断で原発巣切除を受けた。2年前には骨盤内腹膜播種病変の増大傾向を認め、STI571の400mg/日内服を開始した。2年後、骨盤内の腹膜播種を疑わせる腫瘤陰影は縮小したが、肝S 4/5の中肝静脈に沿って、周辺に造影効果のある腫瘤を認めた。肝S 4/5に存在する空腸GISTの肝転移と診断し、肝S 4/5部分切除術と骨盤内の腹膜播種病巣の摘出を行った。腫瘍は被膜を有する単結節性腫瘍で、病理組織像は、腫瘍細胞は核の腫大した紡錘形細胞が相交錯して増殖し、胞体はやや好酸性を示した。免疫染色はc-kit:陽性、平滑筋抗体・S-100・CD34:陰性であった。術後補助療法としてSTI571を600mg/日投与したところ、肝再発の兆候はみられず、副作用なく1年6ヵ月間の生存を得ている。GIST切除後再発をきたした場合には、積極的な外科的切除とSTI571による術後補助療法の組み合わせが有効だと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007