発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009234149
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58歳男。患者は下血を主訴とした。造影CT等で巨大な腹腔内腫瘍、多発性肝転移が認められ、肝腫瘍生検では悪性のgastrointestinal stromal tumor(GIST)の転移が疑われた。腫瘍減量目的に手術を施行すると、大網と一塊になって腫瘍が存在しており、小腸との癒着、腹膜播種も多数認められた。短腸症候群の危険性や吻合できない可能性を考慮し、腫瘍摘出は断念したが、病理組織学的所見では悪性GISTの腹膜播種として矛盾しなかった。以後、術後8日目からimatinib 400mg/日を開始したたところ、術後47日目のCTでは腹腔内腫瘍の壊死による内部の液状化、ガス像を認めた。あわせて敗血症にも至ったため、やむを得ず経皮的腫瘍ドレナージ術を施行した結果、術後89日目のCTでは腫瘍は著明な縮小を認め、炎症所見も改善傾向を示した。尚、ドレーン留置は約1年半にわたったが、腹腔内腫瘍はほとんど同定できなくなり、多発性肝腫瘍も徐々に減少した。目下、Imatinib投与から約2年半経過で無再燃生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009