発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008117116
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症例は81歳男性で、4ヵ月前、胆石胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術(LapC)を受けた。その後、数度の胆嚢炎発作がみられた。胆嚢管と胆嚢動脈にクリップをかけて切離したところ、術後経過は良好であったが、このたび、黄疸を主訴に近医を受診し、閉塞性黄疸と診断された。腹部単純X線、腹部CT、DIC-CT、ERC像で中部胆管の高度狭窄、下部胆管内に可動性を有する長楕円形の透亮像と中心部にクリップと思われる棒状の物質を認め、手術を行った。術中胆道ファイバーでは、2個のクリップを核とした総胆管結石を認めた。術後経過は良好で、結石の再発は認められない。胆管狭窄と胆嚢管クリップの総胆管への迷入が総胆管結石を形成し、今回、同結石に起因する胆管炎がさらなる胆管狭窄を助長し、顕性黄疸が出現したと判断した。LapCの既往がある症例に、発熱、腹痛などの症状や肝機能異常を認めた場合、総胆管結石症も考慮した精査を進める必要があると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007