発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012307403
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57歳男。1年前より間欠的に黒色便を自覚していた。5ヵ月前に肺炎で入院した際に貧血から消化管出血が疑われ紹介となった。左側腹部に鶏卵大腫瘤を触知し、カプセル内視鏡で空腸に浅い潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認めた。シングルバルーン法による小腸内視鏡では、Treitz靱帯より50cm肛門側に浅い潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認めた。腹部CTでは、左下腹部に小腸から発生したと考えられる長径40mm大の辺縁明瞭で内部均一、周囲消化管壁と同程度の造影効果を有する腫瘤性病変を認めた。リンパ節腫脹、肺および肝に転移所見は認めず、小腸GISTとして腹腔鏡補助下に手術を施行した。腫瘍は6×6×4cm、弾性硬、充実性で鉄アレイ状に管外に発育し、管腔側への突出も認め、粘膜側に潰瘍を形成していた。病理所見より、腫瘍は空腸平滑筋層に連続し、切除断端は陰性であった。また、核は紡錘型をしており、細胞分裂像は3/50HPFであった。免疫染色はKITとCD34が陽性、デスミンとS-100が陰性を示し、低悪性度の小腸原発GISTと診断した。経過良好で、外来にてimatinibによる補助化学療法を行った。
©Nankodo Co., Ltd., 2012