発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011111348
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37歳男。9年前、小腸平滑筋腫(当時の病理報告)にて小腸部分切除術の既往があった。今回、感冒症状で受診した際に腹部腫瘤を触知し入院となり、腹部CTで肝右葉に20cm大のcystic massを認め、辺縁は不整に濃染された。内部は液体成分が貯留し、変性が強かった。腹部血管造影では、左葉内側区域枝および右葉枝がfeederとなるhypervascular tumorを認めた。変性の強い肝細胞癌または悪性血管内皮腫を疑い、播種の可能性を考慮して針生検は施行せず、拡大右葉切除術を施行した。切除標本は22×18×8cmの境界明瞭な腫瘍で、内腔は出血を伴っていた。病理組織学的にはspindle cellが束状に増殖し、免疫染色でc-kit陽性であった。9年前の小腸腫瘍を病理学的に再検討したところ、免疫染色でc-kit陽性であり、gastrointestinal stromal tumorと診断された。術後、一過性の肝不全状態となったが保存的に軽快し、術後23日に退院した。なお、術中に腫瘍内腔の血液が術野に漏出したため再発の危険が高いと判断し、imatinib mesilateをadjuvant therapyとして投与しており、術後15ヵ月の現在、無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011