発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211687
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63歳女.貧血,全身倦怠感を主訴とした.精査目的で入院したが,入院時の検査では小球性低色素性貧血以外の異常は認めなかった.上部消化管の内視鏡検査にて十二指腸Vater乳頭口側に中心部陥凹を伴う易出血性で急峻な隆起性病変がみられ,造影検査にてCループの開大と十二指腸第2部に境界明瞭な隆起性の腫瘍像を認めた.また,造影CTおよびMRI,超音波検査にて膵頭部領域に認めた腫瘍は直径約40mmで十二指腸壁第4層から連続し,中心部に嚢胞状変化と周囲に強い濃染を伴っていた.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,摘出標本の肉眼所見では中心陥凹と内部の出血壊死を伴った充実性の粘膜下腫瘍であった.病理組織所見では紡錘形細胞の不規則な増殖像を示したが核分裂像はほとんど認めず,免疫染色にてビメンチン,α-SMA,myoglobulin,CD34,c-kit陽性,S-100β,デスミン陰性であり,十二指腸原発gastrointestinal stromal tumorと診断した
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