発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211685
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54歳男.検診の腹部エコー検査にて膵腫瘤が疑われ,腹部CTにて左上腹部胃左側の腫瘤性病変を指摘された.入院時,左上腹部の腹壁直下に腫瘤を触知したが,血液検査や腫瘍マーカーの異常は認めなかった.腹部CTでは同部位に膵臓,脾臓と連続性のない径11cmの腫瘤を認め,腫瘤はMRIのT1強調画像で等信号から低信号,T2強調画像で高信号を呈し,一部に更に強い高信号を示した.また血管造影にて左胃大網動脈を栄養血管とする濃染像と同動脈の拡張,伸展像を認め,大網原発腫瘍を疑った.開腹時,左上腹部胃左側に認めた巨大な腫瘤は大彎側に壁外性発育を示しており,胃壁の一部を含めてこれを切離,摘出した.病理組織診断では核分裂像は高倍率50視野中に3個認め,免疫染色ではc-kit,ビメンチン陽性,デスミン,平滑筋アクチン陰性であり,低悪性度胃gastrointestinal stromal tumorと診断した.術後経過は良好で術後1年を経過し,現在も再発の徴候はないが慎重な観察が必要と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004