発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211688
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71歳女.食欲不振,嘔気,右季肋部痛,全身倦怠感を主訴とした.嘔気,右季肋部痛が出現し,腹部CTにて胆嚢の腫大,壁肥厚,総胆管の拡張を認め,急性胆嚢炎と診断された.入院時,肝機能異常とFBS,HbA1c,CA19-9の上昇を認め,内視鏡的逆行性胆道膵管造影では下部胆管に狭窄がみられた.胆汁,膵液,胆管狭窄部の擦過細胞診および遺伝子診断では明確な悪性所見はないが,画像的に悪性が強く疑われたため,エホバの証人の患者本人,家族らに対し癌の可能性,経過観察することの危険性,手術法について詳細な説明を行った.インフォームド・コンセント(IC)を得た上で開腹,膵頭十二指腸切除術とChild変法による再建を行い,無輸血で終了した.摘出標本では下部胆管に平坦浸潤型の腫瘍を認め,病理組織像では高分化型腺癌が浸潤性に増殖していた.本事例では術前診断が確定していなかったため患者と家族に対し根気強い説明が不可欠であり,ICの重要性が示唆された
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