発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017343468
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37歳女性。排便時出血を主訴に近医を受診、直腸に隆起性病変を指摘され、精査加療目的で紹介となった。大腸内視鏡所見では、直腸Rbに歯状線に近接する約2cmの亜有茎性腫瘍を認めた。表面は凹凸不整、赤色調で、一部に黒色が混じり易出血性であった。生検では腫瘍細胞の密な増生を認め、HMB-45、Melan-Aは共に陽性であった。直腸肛門部悪性黒色腫と診断し、腹腔鏡下直腸切断術が施行された。術後、補助療法は施行せず、経過観察としたが、半年経過で左鼠径部リンパ節腫大と疼痛が出現した。胸腹部造影CTを行なったところ、26×20mmの造影効果を伴う右閉鎖リンパ節腫大と、20mmの造影効果を伴う左鼠径リンパ節腫大が認められた。以上、右閉鎖および左鼠頸部リンパ節再発と診断され、腹腔鏡下リンパ節切除を施行した。切除標本の病理所見は、右閉鎖リンパ節に悪性黒色腫の転移を認めたが、左鼠径リンパ節への転移は認められなかった。術後は他院にて分子標的薬を用いた補助化学療法の臨床試験に参加し、経過観察中である。
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